リノベーションの費用負担を抑えたいなら、減税・優遇制度の活用が選択肢のひとつです。中古マンションを買って工事をする場合、住宅ローン減税やリフォーム促進税制など複数の制度が使える可能性があります。
中部レインズの集計では、2026年5〜7月に名古屋市で成約した中古マンション817件のうち、築31年以上が335件とおよそ4割を占めています。築年数の経った物件を購入してリノベーションする方が名古屋では多い一方で、築年数は制度が使えるかどうかにも関わってくるんです。
この記事の要約
- リノベーションで使える減税・優遇制度7つを、対象工事・軽減内容・申請先ごとに早見表で整理しています
- 住宅ローン減税とリフォーム促進税制は原則として併用できないなど、組み合わせの可否と選び方の判断軸がわかります
- 工事の契約前から入居した翌年の確定申告まで、いつ何をすればいいかを4ステップで確認できます
くらココ。では名古屋エリアの中古マンションを約7,000件掲載しています。会員限定の非公開物件もありますので、気になる物件があればお気軽にご覧ください。
この記事は、宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー・マンションリノベーションアドバイザーの有資格者が集まるくらココ。編集部がお届けします。名古屋の中古マンションに特化して10年、累計10,000組以上のご相談をいただいてきました。制度選びで迷っている方が、ご自身に合った組み合わせを見つけるきっかけになれば幸いです。
目次
リノベーションの減税・優遇制度とは?税金が軽くなる仕組み

リノベーションの減税・優遇制度とは、一定の条件を満たす工事をした場合に、納める税金が軽くなる仕組みのことです。国が用意しているものが中心で、工事の内容や資金の出どころによって使える制度が変わります。名古屋市など地方公共団体が独自に設けている支援制度もあります。
まずは全体像を押さえておくと、あとの制度選びがぐっと楽になります。
減税制度は2タイプ|「戻ってくる」と「これから減る」
減税制度は、お金の動き方で大きく2つに分けられます。
| タイプ | 仕組み | 受け取り方 | 代表的な制度 |
|---|---|---|---|
| 還付型 | すでに納めた所得税が戻ってくる | 確定申告で申請し、後日振り込まれる | 住宅ローン減税、リフォーム促進税制(所得税) |
| 軽減型 | これから納める税金が少なくなる | 請求される税額そのものが減る | 固定資産税の減額、不動産取得税の軽減 |
還付型で注意しておきたいのが、戻ってくるのはあくまで自分が納めた税額の範囲内という点です。国土交通省も、納めた税額以上には還付されないと明記しています。控除の上限額がそのまま受け取れる金額になるわけではないので、ご自身の所得税額と合わせて考える必要があります。
軽減型は、そもそも請求額が下がる形なので、還付を待つ手間がありません。ただし申請先が税務署ではなく市区町村になるなど、手続きの流れが別になります。
補助金との違い|受け取るお金か、差し引かれる税金か
減税制度とよく混同されるのが補助金です。両方とも費用負担を軽くするものですが、性質が違います。
- 補助金:条件を満たすと現金が交付される。予算の上限があり、先着順や期限で締め切られることが多いです
- 減税制度:税金が軽くなる。期限内であれば予算切れという概念は基本的にありません
補助金は申請のタイミングを逃すと使えなくなるケースがあります。一方の減税制度は、適用期間内であれば要件を満たす限り使えるのが一般的です。この違いから、補助金を先に押さえて減税は後から申請するという順序になることが多くなっています。
なお、補助金と減税は併用できます。ただし補助金を受け取った分は、控除額を計算するときの工事費用から差し引く扱いです。ここは見落としやすいポイントなので、後ほど詳しくお伝えします。
制度全体の関係図|4つの系統で整理する
リノベーションに関わる制度は数が多く、並べただけでは覚えきれません。どの税金が軽くなるのかという軸で4つに分けると、頭に入りやすくなります。
| 系統 | 軽くなる税金 | 主な制度 | 申請先 |
|---|---|---|---|
| ①所得税系 | 所得税(一部は住民税も) | 住宅ローン減税、リフォーム促進税制 | 税務署 |
| ②資産保有系 | 固定資産税 | 固定資産税の減額措置 | 市区町村 |
| ③取得・流通系 | 登録免許税、不動産取得税 | 各軽減措置 | 法務局、県税事務所 |
| ④贈与系 | 贈与税 | 住宅取得等資金の非課税措置 | 税務署 |
金額のインパクトが大きいのは①の所得税系です。国土交通省によると、リフォーム促進税制では最大60〜80万円が所得税額から控除されるとされています。ただし①の中では制度同士が競合する場面があり、そこが本記事のメインテーマになります。
②〜④は金額こそ①より小さめですが、申請先も期限もばらばらです。まとめて手続きできるものではないと理解しておくと、あとで慌てずに済みます。
「中古を買ってリノベーション」なら使える制度が増えることも
工事だけをする場合と、中古マンションを購入して工事もする場合とでは、使える制度の数が変わってきます。購入が絡むと、③の取得・流通系や④の贈与系が視野に入ってくるためです。
名古屋では築年数の経った物件を購入してリノベーションするケースが多く、購入と工事をセットで考える方が少なくありません。その場合は、物件を探している段階から制度を意識しておくと選択肢が広がりやすくなります。
リノベーションで使える減税・優遇制度7選【2026年度】

ここからは、リノベーションで使える可能性のある制度を7つ紹介します。それぞれ「対象になる方」「何が軽くなるか」「申請先」の3点にしぼってお伝えします。
なお、いずれも工事の内容や住宅の条件によって適用の可否が変わります。ご自身が当てはまるかどうかは、後半の対象外になりやすいケースとあわせてご確認ください。
①住宅ローン減税(増改築等)|10年以上のローンを組む場合
返済期間10年以上のローンを利用してリノベーションをした場合に、年末のローン残高に応じて所得税が控除される制度です。中古マンションの購入とリノベーションをまとめて一体型ローンで借りるケースでも、要件を満たせば対象になることがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象になる方 | 返済期間10年以上のローンでリノベーションをし、自分で住む方 |
| 軽くなる税金 | 所得税(引ききれない分は住民税からも控除) |
| 申請先 | 税務署(入居した翌年の確定申告) |
| 適用期間 | 令和8年1月1日〜令和12年12月31日 |
令和8年度の税制改正で、住宅ローン減税(増改築)の適用期間が5年間延長されました。工事後の専有面積や工事費用の下限など、細かな要件もあわせて確認が必要です。
②リフォーム促進税制|自己資金でも使える所得税の控除
ローンの有無を問わず使えるのが、このリフォーム促進税制です。対象となる工事をした場合に、工事費用に応じた金額が所得税から控除されます。手持ちの資金でリノベーションをする方にとっては、有力な選択肢のひとつです。
対象になる工事は、次の6種類とされています。
| 工事の種類 | 所得税の最大控除額 |
|---|---|
| 耐震改修 | 62.5万円 |
| バリアフリー改修 | 60万円 |
| 省エネ改修 | 62.5万円(太陽光発電設備の設置を伴う場合67.5万円) |
| 長期優良住宅化改修 | 62.5〜75万円(同80万円) |
| 三世代同居対応改修 | 62.5万円 |
| 子育て対応改修 | 62.5万円 |
※国土交通省の公表資料をもとに作成(2026年9月時点)
子育て対応改修には、対面式キッチンへの交換や間取り変更なども含まれています。「省エネや耐震のような大がかりな工事でないと使えない」と思われがちですが、リノベーションで実際によく行う工事も対象に入っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象になる方 | 対象工事を行い、工事完了後6ヶ月以内に入居する方 |
| 軽くなる税金 | 所得税 |
| 申請先 | 税務署(入居した翌年の確定申告) |
| 適用期間 | 令和8年1月1日〜令和10年12月31日 |
③固定資産税の減額措置|翌年度分が軽くなる
一定の改修工事をすると、翌年度分の固定資産税が減額される制度です。固定資産税とは、住宅や土地を持っている方が毎年市区町村に納める税金のことです。
| 工事の種類 | 減額される割合(翌年度分) |
|---|---|
| 耐震改修 | 2分の1 |
| バリアフリー改修 | 3分の1 |
| 省エネ改修 | 3分の1 |
| 長期優良住宅化改修 | 3分の2 |
三世代同居対応改修と子育て対応改修は、所得税の控除のみで固定資産税の減額対象には含まれていません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 軽くなる税金 | 固定資産税(家屋分) |
| 申請先 | 市区町村(名古屋市の場合は市税事務所) |
| 申請期限 | 工事完了後3ヶ月以内 |
| 適用期間 | 令和8年4月1日〜令和13年3月31日 |
申請期限が工事完了後3ヶ月以内と短いのが、この制度の注意点です。確定申告のタイミングまで待っていると間に合わないため、工事が終わった段階で動く必要があります。
④贈与税の非課税措置|親などから資金援助を受けるとき
住宅の取得やリノベーションのために、父母や祖父母から資金の贈与を受ける場合に使える制度です。一定額までは贈与税がかからない扱いになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象になる方 | 直系尊属(父母・祖父母など)から住宅資金の贈与を受ける方 |
| 軽くなる税金 | 贈与税 |
| 申請先 | 税務署(贈与を受けた翌年の確定申告) |
非課税になる金額は、住宅の省エネ性能などによって変わります。また、贈与を受けた年の翌年3月15日までに入居するといった期限の要件もあるとされています。資金援助の話が出ている場合は、早めに税務署や税理士に確認しておくと安心です。
⑤流通税の軽減措置|登録免許税・不動産取得税
中古マンションを購入するときにかかる税金にも、軽減措置が用意されています。
- 登録免許税:所有権の移転登記や、ローンの抵当権設定登記のときにかかる税金です。一定の要件を満たす住宅では税率が軽減されます
- 不動産取得税:不動産を取得したときに一度だけかかる都道府県の税金です。中古住宅では課税の対象額から一定額が控除される仕組みがあります
いずれも、床面積や耐震性能などの要件を満たすことが前提となります。申請先は登録免許税が法務局、不動産取得税なら県税事務所となっています。愛知県の場合は、物件所在地を管轄する県税事務所への申告となります。
⑥買取再販物件の特例|リノベーション済み物件を買う場合
不動産会社が中古住宅を買い取り、リノベーションしてから販売する物件を「買取再販物件」と呼びます。一定の要件を満たす買取再販物件では、購入時の登録免許税がさらに軽減される特例があります。
自分で工事をするのではなく、すでに工事が終わった物件を購入する場合の選択肢です。
⑦住宅省エネ2026キャンペーンなどの補助金
減税ではありませんが、あわせて検討したいのが補助金です。2026年度は「住宅省エネ2026キャンペーン」として、国土交通省・環境省・経済産業省が連携した支援制度が実施されています。
窓の断熱改修や高効率給湯器の設置など、省エネ性能を高める工事が主な対象です。減税制度との併用が可能とされていますが、予算の上限があるため早めの確認が欠かせません。
補助金の内容は年度ごとに変わります。検討中の方は、必ず各事業の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
【早見表】7制度の対象・軽減内容・申請先・期限
ここまでの7つを一覧にまとめました。
| 制度名 | 主な対象 | 軽くなるもの | 申請先 | 期限の目安 | |
|---|---|---|---|---|---|
| ① | 住宅ローン減税(増改築等) | 10年以上のローン利用者 | 所得税・住民税 | 税務署 | 入居翌年の確定申告 |
| ② | リフォーム促進税制 | 6種類の対象工事 | 所得税 | 税務署 | 入居翌年の確定申告 |
| ③ | 固定資産税の減額措置 | 4種類の対象工事 | 固定資産税 | 市区町村 | 工事完了後3ヶ月以内 |
| ④ | 贈与税の非課税措置 | 親などからの資金援助 | 贈与税 | 税務署 | 贈与の翌年の確定申告 |
| ⑤ | 流通税の軽減措置 | 中古住宅の購入 | 登録免許税・不動産取得税 | 法務局・県税事務所 | 登記時・取得後 |
| ⑥ | 買取再販物件の特例 | リノベ済み物件の購入 | 登録免許税 | 法務局 | 登記時 |
| ⑦ | 補助金(住宅省エネ2026等) | 省エネ改修など | 工事費用の補助 | 各事業の事務局 | 予算上限まで |
※国土交通省の公表資料をもとに作成(2026年9月時点)。適用要件の詳細は各制度の公式ページをご確認ください。
こうして並べると、申請先も期限もばらばらだとわかります。特に③の固定資産税は期限が短く、他の制度と同じタイミングでは動けません。
そして、これらすべてを同時に使えるわけではない点も重要です。次のセクションで、組み合わせの可否を整理します。
併用できる制度・できない制度|組み合わせの判断ポイント

7つの制度は、すべてを同時に使えるわけではありません。特に金額の大きい所得税系の2つには、併用できない組み合わせがあります。ここを知らないまま工事を進めてしまうと、後から選び直せないケースも出てきます。
住宅ローン減税とリフォーム促進税制は原則併用できない
結論からお伝えすると、リフォーム促進税制(所得税)と住宅ローン減税(増改築)の同時適用はできません。これは国土交通省も明記しているルールです。
つまり、ローンを組んでリノベーションをする方は、どちらか一方を選ぶことになります。両方の控除額を足し合わせて考えることはできません。
ただし、耐震改修だけは例外です。耐震改修に限っては、住宅ローン減税との併用が認められています。旧耐震基準の物件を購入して耐震改修を含むリノベーションをする場合は、この例外が使える可能性があります。
固定資産税の減額措置は所得税の制度と競合しないため、どちらを選んでも組み合わせられます。所得税でどちらか一方を選び、そこに固定資産税の減額を重ねるという形が基本になります。

どちらを選ぶ?3つの判断軸
住宅ローン減税とリフォーム促進税制のどちらが向いているかは、状況によって変わります。判断のヒントになる軸を3つ挙げます。
軸1|ローンを組むかどうか
自己資金だけでリノベーションをする場合、住宅ローン減税は使えません。返済期間10年以上のローン利用が前提だからです。この場合はリフォーム促進税制が選択肢になります。
軸2|工事の内容が対象6種類に当てはまるか
リフォーム促進税制は、耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化・三世代同居対応・子育て対応の6種類が対象です。内装のデザインを変えるだけといった工事は含まれません。対象工事に当てはまらない場合は、住宅ローン減税の方が現実的とされています。
軸3|控除を受けられる期間
住宅ローン減税は複数年にわたって控除を受けられる制度です。一方のリフォーム促進税制は、工事をした年の1回で完結します。借入額が大きく返済期間も長い場合は、住宅ローン減税の方が総額で有利になるケースが多いといわれています。
中古マンションを購入してフルリノベーションをする方の場合、購入資金を含めた借入額が大きくなりがちです。そのため住宅ローン減税を選ぶケースが比較的多い傾向にあります。ただし所得税額によって受けられる控除額は変わるため、一律には決められません。
補助金と減税は併用可|ただし控除額の計算から差し引く
補助金と減税制度は併用できます。ここは多くの方が気にされるポイントですが、国土交通省も併用可能としています。
注意したいのは、控除額を計算するときの扱いです。補助金を受け取った場合、その金額は工事費用から差し引いて控除額を計算します。補助金の分だけ、控除の計算に使える工事費用が小さくなるということです。たとえば工事費用が300万円で補助金を50万円受け取った場合、控除額の計算に使うのは差し引いた250万円になります。

補助金と減税を足した金額が丸ごと手元に残るわけではありません。とはいえ併用そのものは可能なので、両方を検討する価値は十分にあります。
なお、補助金を利用した場合は交付決定通知など金額のわかる書類が必要になります。減税の申請時まで保管しておく必要があるとされていますので、受け取った書類は捨てずに残しておいてください。
ケース別の組み合わせ例
よくある3つのパターンで、組み合わせのイメージをお伝えします。
ケースA|自己資金でリノベーションをする
使える可能性がある制度
- リフォーム促進税制(所得税)
- 固定資産税の減額措置
- 補助金
ローンを組まないため、住宅ローン減税は対象外です。対象工事に当てはまるかどうかが分かれ目になります。
ケースB|リフォームローンを組んでリノベーションをする
使える可能性がある制度
- 住宅ローン減税 または リフォーム促進税制(いずれか一方)
- 固定資産税の減額措置
- 補助金
所得税系でどちらを選ぶかの判断が必要になるパターンです。3つの判断軸を参考にご検討ください。
ケースC|中古マンションを購入してフルリノベーションをする
使える可能性がある制度
- 住宅ローン減税(購入とリノベーションの一体型ローン)
- 固定資産税の減額措置
- 登録免許税・不動産取得税の軽減措置
- 贈与税の非課税措置(資金援助がある場合)
- 補助金
購入が絡む分、使える制度の数が増えるパターンです。名古屋で中古マンションを探してリノベーションをする方は、このケースに当てはまることが多くなっています。物件購入からリノベーションまでの総費用や工事の流れは、「名古屋で中古マンションを買ってリノベーションするといくらかかる?|費用と流れを徹底解説」でまとめています。
ただし制度の数が多いぶん、申請先も期限もばらばらになります。何をいつやるのかを整理しておかないと、取りこぼしが起きやすいパターンでもあります。次のセクションで、時系列に沿って確認していきましょう。
申請時期はいつ?工事前から入居後までの4ステップ

減税制度で取りこぼしが起きやすいのは、金額の計算よりも「動くタイミング」です。工事が終わってから調べ始めると、間に合わないものが出てきます。時系列に沿って確認していきましょう。
STEP1|工事の契約前:対象工事の判定と要件確認
最初にやるべきことは、工事請負契約を結ぶ前の要件確認です。国土交通省も、申請までの流れの第一段階としてリフォーム内容の検討と資金計画を挙げています。
この段階で確認しておきたいのは次の3点です。
- 予定している工事が、対象となる工事に当てはまるか
- ローンを組むかどうか(住宅ローン減税とリフォーム促進税制のどちらを選ぶかに直結します)
- 補助金を使うかどうか(事前申請が必要な制度もあります)
工事の内容を少し調整するだけで対象になるケースもあります。契約前であれば選択肢が残っていますが、着工後の変更は難しくなるのが一般的です。
STEP2|工事中〜完了時:増改築等工事証明書の手配
増改築等工事証明書とは、どんな工事をいくらで行ったかを証明する書類のことです。減税の申請にはほぼ必須となる書類で、建築士などの発行主体に依頼して作成してもらいます。
発行を依頼する際は、工事請負契約書や設計図書など工事の内容と費用がわかる書類が必要とされています。工事をした事業者に相談しながら進めるとスムーズでしょう。
もうひとつ、この段階で気をつけたいのが入居のタイミングです。リフォーム促進税制では、工事完了後6ヶ月以内に入居することが要件のひとつとされています。引っ越しの予定が先になりそうな場合は、この期限を意識しておく必要があります。
補助金を利用した場合は、交付決定通知など金額がわかる書類も受け取ります。減税の申請時まで使うことになるので、まとめて保管しておいてください。
STEP3|入居した翌年:確定申告で申請する
所得税の控除は、入居した年の翌年の確定申告で申請します。会社員の方も、初年度は年末調整ではなく確定申告が必要です。
主な必要書類は次のとおりです。
| 書類 | 入手先 |
|---|---|
| 確定申告書 | 税務署・国税庁サイト |
| 控除額の計算明細書 | 税務署・国税庁サイト |
| 増改築等工事証明書 | 建築士などの発行主体 |
| 工事完了後の家屋の登記事項証明書 | 法務局 |
| 補助金の額がわかる書類 | 補助金の交付元 |
工事の種類によって必要な書類は変わります。長期優良住宅化改修なら認定通知書の写し、バリアフリー改修なら介護保険の被保険者証の写しなどが加わります。
もし申告を忘れてしまった場合でも、一定期間内であれば後から手続きできる仕組みがあります。気づいた時点で税務署に相談してみてください。
STEP4|2年目以降:年末調整に切り替わる
給与所得者の方の場合、住宅ローン減税は2年目以降、年末調整で手続きできるようになります。毎年確定申告をする必要はありません。
一方のリフォーム促進税制は、工事をした年の1回で完結する制度です。翌年以降の手続きは発生しません。
固定資産税・不動産取得税は申請先も期限も別
ここまでは税務署への手続きの話でした。注意していただきたいのが、固定資産税と不動産取得税は流れがまったく別だという点です。
| 制度 | 申請先 | 期限 |
|---|---|---|
| 所得税の控除 | 税務署 | 入居翌年の確定申告 |
| 固定資産税の減額 | 市区町村(名古屋市は市税事務所) | 工事完了後3ヶ月以内 |
| 不動産取得税の軽減 | 県税事務所 | 取得後(自治体により異なる) |
特に固定資産税の3ヶ月という期限は短めです。確定申告のシーズンを待っていると過ぎてしまいます。工事が完了したら、まず市区町村への申告を済ませるという順番で考えておくと安心です。

名古屋市の場合は、物件の所在地を管轄する市税事務所が窓口になります。必要書類や手続きの詳細は、名古屋市の公式サイトでご確認ください。
対象外になりやすいケース|中古マンションで注意したい条件

制度の内容を把握しても、そもそも要件を満たしていなければ使えません。中古マンションのリノベーションで特につまずきやすい3つのポイントをお伝えします。
マンションの共用部にあたる工事は個人で申請できない
マンションには、自分の所有物である専有部分と、住民全体で共有する共用部分があります。減税の対象になるのは、原則として専有部分の工事です。
共用部分の工事は管理組合が主体となって行うため、個人での減税申請はできないとされています。専有部分と共用部分の境界は、マンションごとの管理規約で定められています。
判断が分かれやすいのが窓まわりです。サッシそのものは共用部分の扱いでも、その内側に内窓を新設する工事であれば専有部分として減税の対象になることが多くあります。省エネ改修を検討している方にとっては、覚えておきたいポイントです。
床面積・工事費用・所得の要件を満たしているか
制度ごとに、数字で定められた要件があります。代表的なものは次の3つです。
- 床面積の要件:工事後の専有面積が一定以上であること
- 工事費用の要件:補助金などを除いた工事費用が一定額を超えること
- 所得の要件:申請する年の合計所得金額が上限以下であること
数字は制度によって異なり、税制改正で変わることもあります。ご自身のケースが当てはまるかどうかは、国土交通省の特設サイトで要件をチェックできる仕組みが用意されています。
注意しておきたいのは、工事費用の要件です。補助金を受け取った場合、その分を差し引いた金額で判定されます。補助金を使ったことで下限を割り込んでしまうケースもゼロではありません。
旧耐震基準の物件は原則として対象外
1981年5月31日以前に建築された住宅は「旧耐震基準」と呼ばれ、住宅ローン減税の対象外となるのが原則です。名古屋市では2026年5〜7月の中古マンション成約817件のうち築31年以上が335件と、およそ4割を占めています。築年数の経った物件を検討する方にとっては、確認が欠かせない条件といえます。
ただし、耐震改修を行って現行の基準に適合させる場合は、リフォーム促進税制の耐震改修が使える可能性があります。前のセクションでお伝えしたとおり、耐震改修は住宅ローン減税との併用も認められている項目です。
耐震基準の見分け方や築年数による違いは、中古マンションの耐震基準は築年数でどう変わる?で詳しく解説しています。
これらの条件は、物件を決めたあとでは変えられないものばかりです。だからこそ、物件を探している段階から意識しておく意味があります。
くらココ。の現場から|名古屋であった減税・補助金のご相談

実際のご相談で、ご判断が分かれやすかった場面をご紹介します。くらココ。は名古屋の中古マンションに特化して10年、累計10,000組以上のご相談をいただいてきました。個人が特定されない形でご紹介します。
補助金の利用で控除額の前提が変わったケース
「補助金と減税を合計するといくら戻りますか」というご質問は、よくいただきます。
前のセクションでお伝えしたとおり、補助金を受け取った分は控除額の計算に使う工事費用から差し引かれます。単純な足し算にはならないため、想定していた金額と食い違うことがあるんです。
このケースでは、補助金を使う場合と使わない場合の両方で試算し、比較したうえでご判断いただきました。どちらが有利かは工事の内容や金額によって変わるため、一律には決められない部分といえます。
物件探しの段階から制度を確認できる体制
ご相談を通じて感じるのは、判断のタイミングが物件購入の前後に集中しているという点です。制度を確認するのが後になるほど、選べる幅は狭くなっていきます。
くらココ。では、物件探しとリノベーションプランの検討を同じ窓口でご相談いただけます。「この物件でこの工事をした場合、どの制度が使えそうか」という見通しを、購入を決める前に確認していただける体制です。
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー・マンションリノベーションアドバイザーの有資格者が在籍しており、物件の条件と資金計画の両面から整理していきます。ただし個別の税額計算や申告手続きそのものは税理士・税務署の領域となるため、必要に応じて専門家をご紹介する形をとっています。
リノベーションの減税・優遇制度に関するよくある質問

Q1.リノベーション費用がいくらから減税の対象になりますか?
制度ごとに工事費用の下限が定められています。補助金を受け取った場合は、その分を差し引いた金額で判定される点にご注意ください。補助金を使ったことで下限を割り込んでしまうケースもあるため、両方を検討している方は事前の確認が欠かせません。具体的な金額は税制改正で変わることもあるので、国土交通省の特設サイトで最新の要件を確認するのが確実です。
Q2.申請から還付までどのくらいの期間がかかりますか?
所得税の還付は、確定申告から1〜2ヶ月程度で振り込まれるのが一般的とされています。e-Taxを利用した場合は、書面での申告よりも早く処理される傾向にあります。ただし混み合う時期には時間がかかることもあるようです。なお固定資産税の減額は還付ではなく、翌年度の請求額そのものが軽くなる形になります。手元にお金が戻る時期は制度ごとに異なるため、資金計画を立てる際は分けて確認しておくことをおすすめします。
Q3.確定申告が初めてでも自分で手続きできますか?
必要書類がそろっていれば、ご自身で申告されている方も多くいらっしゃいます。国税庁のサイトには、画面の案内に沿って入力すると申告書を作成できる仕組みが用意されています。ただし工事の種類によって必要書類が変わるうえ、増改築等工事証明書のように他の方に発行を依頼する書類もあります。書類の準備には余裕を持っておくと安心です。不安な場合は、税務署の相談窓口を利用する方法もあります。
Q4.中古マンションを買って同時にリノベーションする場合も対象になりますか?
要件を満たせば対象になる可能性があります。購入とリノベーションをまとめた一体型ローンを利用するケースでも、住宅ローン減税の対象となることがあります。ただし購入する物件の築年数や床面積によって判定が変わる点には注意が必要です。特に1981年5月31日以前に建築された旧耐震基準の物件は、原則として住宅ローン減税の対象外とされています。物件が決まった段階で一度確認しておくと、後から慌てずに済みます。
まとめ|リノベーションの減税は「工事前の確認」と「併用の可否」で変わる

リノベーションの減税・優遇制度について、ここまでの内容を整理します。
使える制度は大きく7つ
| 制度 | ポイント |
|---|---|
| 住宅ローン減税(増改築等) | 返済期間10年以上のローンが前提。複数年にわたって控除を受けられます |
| リフォーム促進税制 | ローンの有無を問わず使えます。対象は6種類の工事に限られます |
| 固定資産税の減額措置 | 翌年度分が3分の1〜3分の2軽減されます |
| 贈与税の非課税措置 | 親などからの資金援助を受ける場合に検討します |
| 流通税の軽減措置 | 登録免許税と不動産取得税が軽くなります |
| 買取再販物件の特例 | リノベーション済み物件を購入する場合の選択肢です |
| 補助金 | 減税との併用が可能。予算の上限があります |
併用のルール
- 住宅ローン減税とリフォーム促進税制は、原則として同時に使えません
- ただし耐震改修に限っては、両方の併用が認められています
- 固定資産税の減額は、所得税の制度と組み合わせられます
- 補助金と減税は併用できますが、補助金の分は控除額の計算から差し引かれます
申請のタイミング
- 工事の契約前に、対象工事の判定と要件確認をします
- 工事中から完了時にかけて、増改築等工事証明書を手配します
- 入居した翌年の確定申告で、所得税の控除を申請します
- 2年目以降は、住宅ローン減税なら年末調整に切り替わります
固定資産税の減額は工事完了後3ヶ月以内に市区町村へ、不動産取得税の軽減は県税事務所へ申請します。所得税とは申請先も期限も別になる点にご注意ください。
対象外になりやすい条件
- マンションの共用部分にあたる工事は、個人での減税申請ができません
- 床面積・工事費用・所得の要件を満たしている必要があります
- 旧耐震基準の物件は、原則として住宅ローン減税の対象外とされています
制度の内容そのものよりも、確認するタイミングで結果が変わりやすいのがリノベーションの減税です。物件や工事の内容が固まってからでは選び直せない部分もあるため、早めの確認をおすすめします。
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